塩谷亮 刻を描くリアリズム

開催エリア
市谷・四谷ヴィレッジ
ジャンル
美術

このたび佐藤美術館では、現代写実絵画の第一線で活躍する画家・塩谷亮(1975年生)による初の大規模回顧展を開催いたします。
 塩谷は11歳の時に松本竣介の《Y市の橋》に心を打たれ美術に開眼、西洋古典絵画の画集と出会った中学時代を経て、武蔵野美術大学油絵学科に現役で合格。古典技法の習得に情熱を注ぎ、現代美術志向の波にも流されることなく、自らの信じる道を貫きました。
 卒業と同時に二紀展へ初入選し、2002年には27歳で初個展を開催。その透徹した写実力は瞬く間に注目を集め、やがて訪れる写実絵画の再評価の潮流とともに、写実画壇の中心的存在となっていきます。
 塩谷の目指すリアリズムは、単なる「写し取り」ではありません。対象を深く見つめ、古典技法を土台に、気配や空気感といった目に見えないものを描き出すことに本質があります。人物や風景、静物に至るまで、すべてのモティーフに丁寧に向き合い、その背後にある自然観をキャンバスに結晶させていく――その姿勢は、万物に魂が宿るとする「アニミズム」の精神とも響き合っています。
 塩谷は15年前に念願の田舎へ転居し、海・山・川・田畑に囲まれた環境の中で、日々の暮らしや散歩を通して自然や動物の生命感に圧倒され、人間もまた自然の一部であることを実感しながら制作しています。制作の合間、アトリエに程近い畑の家庭菜園で土いじりをし、時には収穫したての自然の恵みを絵の中に登場させています。
 2009年には文化庁在外研修員として滞在したイタリア・フィレンツェでは、ボッティチェリやレオナルドの模写を通して西洋古典技法の根源に触れ、日本人としての感性をより明確に見つめ直しました。
 写実画家の多くが17世紀オランダ~近代フランスの技法を用いる中で、塩谷は15~16世紀イタリア・ルネサンス期の技法に基づく制作を行っています。過渡的な油彩技法ながら、支持体となる板に乾性油による層を重ねることで、独特の奥行きや透明感、塩谷ならではの気品漂う芳しき色彩と柔らかなアウラに包まれた空間が生み出されるのです。
 今回の展示では5歳で描いた絵から高校・大学時代の習作、デビュー以降の代表作、最新作まで約50点を一堂に展観します。さらにアトリエの再現や公開制作も行うことで、写実絵画の創作の現場に迫ります。
 写実とは何か、いのちある存在を描くとは――30年にわたり一貫して問い続けた画家の軌跡を多面的にご紹介する本展は、デジタル化が進む現代だからこそ、修練を積んだ手わざでしか掴み取ることができない存在の神秘や生命の息づかいを感じるはずです。
 塩谷亮の未来に向けての新たなる決意を示す珠玉の絵画世界を、是非この機会にご堪能ください。

開催日程
2026年1月8日(木)~2月15日(日)
休館日:月曜日
開催時間
10:00~17:00
会場名
佐藤美術館   
住所
新宿区大京町31-10
イベントURL
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出演者
塩谷 亮
料金
一般800円 学生500円 障がい者手帳ご提示の本人と同伴者1名は400円*中学生以下無料
申し込み方法
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チケット取り扱い
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アクセス
JR総武線 千駄ヶ谷駅 徒歩7分、JR総武線 信濃町駅 徒歩7分
お問い合わせ
佐藤美術館
☎ 03-3358-6021
https://sato-museum.la.coocan.jp/
バリアフリー
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多言語対応
-
登録団体
公益財団法人佐藤国際文化育英財団 佐藤美術館

主催:公益財団法人佐藤国際文化育英財団・佐藤美術館
共催:新宿区
助成:公益財団法人野村財団
協賛:栗城林業
特別協力:ホキ美術館
企画協力:以心伝心、芸術新聞社、FIDO
協力:AARON CULTURE、S_R gallery、GALLERY KOGURE、春風洞画廊、大丸松坂屋美術、花田美術、三越美術

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